■展覧会の見どころ
マンダラは、神々や仏たちと、その宮殿や世界の中心にそびえる須弥山が描かれた宇宙の縮図です。約1500年前にインドで誕生し、ネパール、チベット、中国、そして日本へも伝えられました。密教の修行僧が悟りを求めて修行する際の心の案内図として、あるいは弟子の入門儀式などに用いる道具として、チベットやネパールでは今も生き続けています。この展覧会では国立民族学博物館が収集した20世紀の資料を中心に、さまざまなマンダラやそこに登場する仏たちを紹介するとともに、その現代的な意義を探ります。ネパール、モンゴル、ブータン、インド、チベットの仏像や絵画など、約150点を展示します。
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ブータン王国
「持金剛図」
国立民族学博物館蔵
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ブータン王国
「ターラー図」20世紀
国立民族学博物館蔵
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■展示内容
1 仏教のパンテオン −マンダラの仏たち−
マンダラに住む仏たちの姿を分類した5つのグループ(仏、菩薩、女神、護法神、群小神)と、密教が広まる過程で活躍した僧侶である祖師を展示します。絵画や仏像にあらわれたさまざまな種類の仏や神を体系化することにより、マンダラ世界の構造を知ることができます。
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仏:すでに悟りを得た姿である如来像をはじめとする、密教における仏たちの姿を概観します。釈迦如来、薬師如来、大日如来、阿弥陀如来、ヘールカ仏など。
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菩薩:悟りを開いて如来となるために修行に励む仏です。観音菩薩、文殊菩薩、観自在菩薩、弥勒菩薩など。
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女神:仏教では元来女性との接触はタブーとされてきましたが、密教の隆盛につれ女神像もつくられるようになりました。男神の妃として高い地位を占めるようになった女神たちを紹介します。ターラー、般若波羅蜜多女、ヨーギニーなど。
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護法神:仏教の教えを守るために、教えに従わないものを威嚇しながら導く役割をもつ神々です。多くは憤怒形であらわされる男神のグループです。不動明王、大黒天など。
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群小神:ヒンドゥー教を起源とする神々です。バイラヴァ(シヴァ神)など。
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祖師:チベット仏教では師(ラマ)が重要視され、仏や神々と並んで信仰の対象となっています。密教における祖師像を紹介します。
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ネパール王国
「般若波羅蜜多女像」20世紀
国立民族学博物館蔵
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ネパール王国
「ヨーギニー像」20世紀
国立民族学博物館蔵
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2 仏たちの住む宮殿 −マンダラとは何か−
「マンダラ」という語をチベット人たちは「中心を回るもの」と訳しました。
つまりマンダラは、中心の仏をとりまいて整然と並ぶ仏たちと、彼らが住む宮殿のふたつの部分からなる聖なる空間なのです。ここではチベットやネパールで描かれたマンダラ図などをとおして、マンダラのしくみ(形態、構造、機能など)や歴史をわかりやすく紹介します。
仏たちが住む世界をあらわしたマンダラは、仏教が神秘的な傾向を強めた密教の考え方と結びついて生まれたものです。約1500年前にインドに生まれ、ネパール、チベット、中国へ伝えられ、平安時代に空海が日本にもたらしました。13世紀に入るとインドでは仏教が衰退したため、マンダラはほとんど残っていませんが、ネパールやチベットには、衰退前にインドから伝わったマンダラが今も生き続けています。そこには寺院の壁を極彩色で飾るマンダラや、儀式に先立って描かれる砂絵マンダラなど、中国や日本に伝来したものとは色合いを異にしたマンダラがあり、独特の発達をとげた信仰や儀式とともに残っています。
表現上の主な特徴は、円と正方形でできた幾何学的形態であること、細密画を思わせる緻密な描写であること、そして仏たちがすべて中心を向く独特の配置法であることなどをあげることができます
仏教の宇宙論の基本となっているのは、地水火風の四大元素に支えられて世界の中心にそびえる須弥山という巨大な山です。この山を中心にして宇宙はひとつの生命体ととらえられているため、世界としてのマンダラは我々の身体そのものであるとも考えられます。マンダラは、宇宙と自己を一体化するために瞑想する修行者の心の案内図であり、儀礼の装置として用いられます。しかしマンダラがひとりひとりの身体、ひいては心そのものであるならば、この伝統が古い形式の絵画にすぎないとはいえません。マンダラが、宗教や時代、地域を越えて普遍性を持つ図形として注目される理由はここにあるといえるでしょう。
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ネパール王国
「金剛亥母マンダラ」20世紀
国立民族学博物館蔵
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